そもそも「司法書士」とは?

 司法書士は国家資格の一つで、皆様からのご依頼を受けて、法務局や裁判所に提出する書類を作成し、申請することを主な仕事としています。弁護士さんや税理士さんなど、他の国家資格者と同様に、お尻に「士」がつく職業ということで、まとめて「士業(しぎょう)」と呼ばれることもあります。これらの士業者は、他人から依頼を受けて仕事をするところにその本質がありますから、当たり前ですがご依頼がなければ仕事もないということになります。ですから司法書士に限らず、すべての士業者はご依頼者からの信頼を第一に考ますし、お役に立てることを何よりの喜びに感じて日々仕事に励んでいると言って良いと思います。

 それぞれの士業は法律により、国(国民)からその役割を与えられておりますが、司法書士の役割の一つとして法務局に提出する書類を作成し申請する仕事があります。法務局に対しての申請書類といえば第一に登記関係ということになります。

そもそも「登記(とうき)」って何?

 一口に登記と申しましてもいろんな種類がありますが、主なものは不動産登記と商業登記と呼ばれるものです。ここでは不動産登記についてなるべくわかりやすくご説明したいと思います(商業登記に関しましてはまた別の機会に)。
 不動産登記(以下、単に登記といいます)とは、土地や建物の所在や権利関係などを、国で管理する帳簿に記載してもらう一連の手続き(制度)のことであると一応いえます。
 ではなぜ登記は必要なのでしょうか。土地の購入を例に説明してみます。

  

 

 

太郎 さんはマイホームを建てるため、土地を購入しました。

土地の持ち主である 次郎 さんと売買契約を交わし、

代金は銀行でローンを組み払いました。

    よくある光景だと思いますが、以下のようなことをお考えになったことはありますでしょうか。

 

そもそも太郎さんは、購入する土地の持ち主が次郎さんであると、なぜわかったのでしょうか?

普通土地には持ち主の名前は書いてありません。また、いつも知り合いから買うとは限りません。太郎さんは登記記録を調べたのです。法務局へ行き、登記簿謄本(現在は登記事項証明書と呼んでます)を手に入れて、土地の所有者として次郎さんの住所・氏名が記載されていることを確認したのです。それ以外にも土地に不都合な権利がくっついてないかどうか、土地の面積・用途などいろいろなことを確認したはずです。
 購入しようとする土地の所有者が誰であるかということは、あまりに基本的な事柄ですが大変重要な問題です。当たり前ですが、不動産の所有者と契約を交わさなければ、たとえ大枚をはたいたとしても、不動産を取得することはできません(例外はありますが)。司法書士が不動産売買に関してご依頼を受けた場合は、この点について細心の注意をもって確認しています。

 

太郎さんは、次郎さんと契約しただけで土地の持ち主になれたのでしょうか? 

太郎さんは次郎さんと売買契約を交わしておりますから、一応土地の所有者と言えます。ですがそれは次郎さんとの関係において、という条件がつくこととなります。もしもの話ですが、ある日購入した土地に見知らぬ花子さんという他人が来て、勝手に家を建てようとしたらどうなるのでしょうか。太郎さんとしては大金を払って購入した土地ですから、当然自分が持ち主だと主張するでしょうし、そうすべきだとは思います。ですが法的に考えると必ずしも太郎さんの主張が認められるとは限りません。
 先の売買契約はあくまでも当事者間(太郎さんと次郎さん)の約束にすぎず、花子さんには何の関係もないからです。もし、花子さんも次郎さんと売買契約を交わしているとしたら、どうなるのでしょうか(二重の売買です。実際はこんな例はあまりないと思いますし、あってはならないことですが)。

 このような場合に不動産の所有権は、どちらが先に契約したかで決まるわけではありません。太郎さんが花子さんに対して土地の所有を主張するためには、花子さんより先に土地の登記簿に所有者として太郎さんの名前を書き入れてもらう手続きが必要になります(これが登記申請です)。
賢明な太郎さんは司法書士に頼んで登記の申請も済ませていることと思います。  

 

 

太郎さんは銀行で住宅ローンを組みましたが、銀行がすんなり融資してくれるのはなぜでしょうか? 

もちろん太郎さんに一定の収入があるからでしょう。ですがこんなご時世です、ボーナスが減ったり、勤め先が倒産することもないとは限りません。そう考えるとこの先、太郎さんが確実にローンを返済してゆける保証はどこにもないのかもしれません。あまり気持ちの良い話ではありませんが、そんな時に備えて金融機関は、太郎さんが購入した土地を担保に取っています。そして担保権は登記してあり「抵当権(ていとうけん)」と呼ばれています(抵当権を登記する前提としても、太郎さん名義の登記が必要になります)。
 ですから金融機関は一応安心して太郎さんに融資でき、太郎さんはそのお金で土地を買うことができるというわけです。

 

 いかがでしょうか。不動産の購入に際しては他にも様々な留意事項がありますが、

登記の役割について多少なりともご理解いただけたでしょうか。正しい登記がなされ

なければ、安心して不動産を購入したり、お金を貸し借りすることができなくなり、

経済は混乱するでしょう。

 登記制度の信頼性を高めることも、司法書士の大きな役割の一つだと思います。